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なぜ「疲労回復」を謳える? 薬機法とリカバリーウェアの最新動向

2025.10.22 #薬機法 #マーケティング #健康法

近年、私たちの健康意識の高まりとともに、「疲労回復」をコンセプトにしたリカバリーウェアが注目を集めています。
TENTIAL(テンシャル)、ReD(レッド)、AOKI(アオキ)、そしてワークマンなど、様々な企業がこの分野に参入し、独自の技術や素材で快適性や機能性を追求した製品を展開。

しかし、これらの「疲労回復」を謳うウェアの中には、その表現が薬機法に抵触しないのか疑問を抱く人も少なくないかもしれません。
過去には「着るだけで筋力アップ」などを謳った着圧シャツが景品表示法違反で摘発された事例もあり、両者の違いも気になるところです。

今回は、「疲労回復」ウェアの中でも、特に幅広い層から支持を得ているワークマンの「MEDIHEAL®(メディヒール)」を例に挙げ、薬機法に抵触しない理由と、着圧シャツの事例との決定的な違いについて解説していきます。

「疲労回復ウェア」の広告表現は、なぜ薬機法に違反しないのか

なぜ「疲労回復」を謳える? 薬機法とリカバリーウェアの最新動向|ヘルスケアWebコラム

結論からいうと、ワークマンの「メディヒール」が「疲労回復」を謳っていても薬機法に違反しないのは、「一般医療機器」に分類される「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として国に届け出ているためです。

ご存じのとおり、薬機法は、医薬品、医薬部外品、化粧品、そして医療機器などの製造・販売・広告を厳しく規制しています。
特に、身体の構造や機能に影響を及ぼす効果を謳う場合、その製品が「医療機器」として適切な届出・承認・認証を受けているかどうかが重要な基準となるのです。

医療機器とは

薬機法では「医療機器」を、「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等」と定義しています。
そして、そのリスクに応じて「一般医療機器」「管理医療機器」「高度管理医療機器」の3つに分類。
現在、メディヒールのようなリカバリーウェアの多くが、「一般医療機器」としての届出がなされています。

医療機器であっても広告表現には注意が必要

医療機器として認められた場合でも、広告で表示できる効能効果は、届出・認証・承認された範囲内に限定されます。
メディヒールのようなリカバリーウェアの多くは、遠赤外線による血行促進作用が疲労回復につながるというメカニズムが公的に認められていることから、「疲労回復」という表現が使用できるのです。
しかし、その効能効果の範囲を逸脱した広告表現、例えば「あらゆる病気が治る」といった過度な表現や具体的な根拠のない効果を謳った場合、薬機法や景品表示法違反となることも。
医療機器としての届出・認証・承認は、あくまで定められた範囲内での効果を保証するものであり、広告表現の自由を無制限に認めるものではありません。

「着るだけで筋力アップ」着圧シャツとの決定的な違い

なぜ「疲労回復」を謳える? 薬機法とリカバリーウェアの最新動向|ヘルスケアWebコラム

一方で、過去に「着るだけで筋力アップ」などと謳い、景品表示法違反で摘発された着圧シャツの事例が複数ありました。
この事例とワークマンのメディヒールには、決定的な違いがあります。

着圧シャツの景品表示法違反の背景

摘発された着圧シャツは、その多くが「一般衣料品」として販売されていたにもかかわらず、「着るだけで筋力アップ」や「着るだけで痩せる」など、あたかも筋力トレーニングやダイエット効果があるかのような表示をしていたことが問題視されたのです。
景品表示法では、商品やサービスの内容について、一般消費者に誤解を与えるような「不当表示」を禁止しています。
着圧シャツでは、特に以下の点が問題となりました。

優良誤認表示

製品が持つ着圧効果自体は認められるものの、それが「筋力アップ」や「ダイエット効果」に直結するという科学的根拠が乏しいにもかかわらず、そのような効果があるかのように表示した点。

客観的根拠の欠如

表示された効果を裏付ける、合理的な根拠を提示できなかった点。

 

つまり、これらの着圧シャツは、「一般衣料品」であるにもかかわらず、その製品が持たないはずの「身体の機能改善」といった医薬品や医療機器的な効果を消費者に誤解させる形で表示していたため、景品表示法上の「不当表示」と判断されたのです。

関連コラム:広告表現のココに注意!「着圧/加圧系インナー」編

 

メディヒールと 景品表示法違反の着圧シャツの違い

 

項目 ワークマン「メディヒール 景品表示法違反の着圧シャツ
法的分類 一般医療機器として国の認証を取得 一般衣料品として販売
広告表示の根拠 医療機器として認められた効能効果に基づく 科学的根拠が乏しいまま、医薬品・医療機器的な効果を標榜
関連法規 主に薬機法(医療機器に関する規制)の枠内で
適正に表示
景品表示法(不当表示の禁止)違反
国への届出・
認証・承認
あり なし
謳える効果の範囲  定義された医療機器としての効果
(例:血行促進、疲労回復)
衣料品としての範囲内
(例:姿勢サポート、着心地)

 

この比較からわかるように、ワークマンのメディヒールは、「一般医療機器」として国に届け出ている点が、一般衣料品として販売されながら、根拠のない効果を謳った着圧シャツとの決定的な違いとなります。

まとめ

なぜ「疲労回復」を謳える? 薬機法とリカバリーウェアの最新動向|ヘルスケアWebコラム

ワークマンの「メディヒール」をはじめとする上述のリカバリーウェアが「疲労回復」を謳えるのは、それが単なる衣料品ではなく、「一般医療機器」として国に届出をしているため。
これにより、薬機法が定める医療機器の効能効果の範囲内で、適正な広告表示を行っていると判断されます。

一方、「着るだけで筋力アップ」などと謳って摘発された着圧シャツは、医療機器としての届出・認証・承認を受けていない「一般衣料品」でありながら、科学的根拠のない効果を標榜したため、景品表示法上の不当表示とされたのです。

消費者が健康や美容に関わる商品を選ぶ際には、その製品がどのような法的根拠に基づいているのか、そして表示されている効果に客観的な根拠があるのかを見極めることが非常に重要といえるでしょう。

今後、一般衣料品ではなく医療機器としてウェアを販売する企業、あるいは一般健康食品ではなく機能性表示食品として商品を展開する企業は増加していくことが予想されます。
その中でも今回ご紹介した「一般医療機器」に分類される「家庭用遠赤外線血行促進用衣」は、2022年10月に新設されたばかり。
今後ますます市場に同種の製品が登場し、拡大していくことが見込まれます。

公的な届出・認証・承認は、製品の信頼性向上や他社との差別化につながるだけでなく、広告表現の幅を大きく広げることにも貢献します。
消費者の関心が高い「疲労回復」や「〇〇改善」といった効果を適正に訴求できることは、企業にとって大きなアドバンテージになるといえるでしょう。

企業側には、今後も消費者の期待に応えつつ、法規制を遵守した誠実な情報提供が求められます。

 

参考:
一般社団法人日本医療機器工業会の作成した「家庭用遠赤外線血行促進用衣自主基準」について(厚生労働省)
「着るだけで筋肉」根拠なし 消費者庁、9社に防止命令(日本経済新聞)

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