「まつげ美容液」の市場は近年、急速に拡大しています。
女性だけでなく、男性からも需要が高まっているこの商品。
SNSやWeb広告などでも目にする機会が増えているのではないでしょうか。
個人の感想をSNSで発信することは自由ですが、広告表現では細心の注意が必要です。
今回はまつげ美容液の広告表現で注意すべきポイントを見ていきましょう。
まつげ美容液とは、まつげの健康や美しさを保つために開発された美容商品です。
マスカラのようにブラシやチップなどを用いてまつ毛の生え際などに塗布するものが一般的で、はり、こし、つやを与える等の効果が期待されているものが多く見られます。
これらの効果は化粧品では、医薬品等適正広告基準により「毛髪に」はり、こし、つやを与える等の効能をうたうことができますが、まつ毛の育毛の効能効果をうたうことは認められていません。
一部の医薬部外品と認定された商品では、「育毛」としての表現が認められることもあるようですが、厚生労働省から2019年に出された書面によると、頭髪への使用を想定して医薬部外品と承認された育毛剤(養毛剤)が、まつ毛美容液として販売されているケースもあったと報告しています。
その他にも、化粧品の効能として表示される範囲を超えると考えられる「育毛」「発毛を促す」など、育毛の効能効果を期待させるような表示がなされたまつ毛美容液(化粧品)が販売されていることが確認されました。
現在は監視や規制もある中ではありますが、商品情報や口コミを鵜呑みにせず、販売元や掲載内容の信ぴょう性についても、判断する力が消費者にも求められています。
まつげ美容液の広告表現には、薬機法や景品表示法などの法律による規制があります。
これらの法律は、消費者を誤解や欺瞞から守るため、また公正な取引を保証するために存在します。
まず、薬機法では、医薬品や医薬部外品、化粧品との区別が明確に定められています。
医薬品は病気の治療や予防、身体の構造や機能の改善を目的としたもので、これに対して化粧品は美容や清潔を保つことを目的としています。
まつげ美容液のほとんどは化粧品に分類されますので、その効果を過大に表現し、医薬品のように見せる表現は禁止されています。
また、景品表示法では、商品の性能や品質を誇大に宣伝する行為が禁止されています。
具体的には、実証されていない効果を謳ったり、他の商品と比較して優れていると一方的に主張したりすることは違法となりますので注意が必要です。
それでは、化粧品に分類されるまつげ美容液について、具体的な表現事例を見ていきましょう。
【例1】
OK:「まつげを健やかに保つ」
NG:「まつげが伸びる」
具体的な効果を約束するものではなく、まつげのケアができる製品と受け取れるため、化粧品の効能の範囲内としてOK表現となります。
まるで医薬品のような効果がある製品と誤解を与える恐れがあります。
化粧品は人体に対する作用が緩和なものと定義されており、人の体を変化させるような表現は薬機法で認められていません。
【例2】
OK:「まつげにボリュームを与える」
NG:「まつげの成長を促進する」
まつげ美容液がまつげの見た目を改善するサポートとなる製品であることを示しています。
まつげが健康であれば自然とボリュームが出るという事実を基にした表現で、過度な期待を生むものではありません。
この表現は、まつげ美容液がまつげの成長そのものに影響を与えると誤解される恐れがあります。
まつげの成長を促進するという効果は、医薬品に期待されるものであり、化粧品であるまつげ美容液には期待できません。
【例3】
OK:「まつげケアで目力アップ」
NG:「まつげを太くする」
具体的な効果を約束するものではなく、まつげケアを通じて目元全体の印象を向上させるという、抽象的な表現を使用しています。
ユーザーの期待を喚起しつつ、商品の魅力を伝えるための一つの方法と言えます。
まつげ美容液がまつげの太さそのものに影響を与えると誤解される恐れがあります。
こういった効果は医薬品に期待されるものであり、人体に明らかな影響が出るほど強い効果は、化粧品であるまつげ美容液では認められません。
どの表現にも共通することですが、効果が実証されていない場合、景品表示法に違反する恐れもあります。
いずれにしても、化粧品の効能範囲を超えた表現は使用しないようにしましょう。
違法な広告表現とは、消費者に誤った情報を提供し、その結果消費者に誤解を与える恐れがある表現を指します。
まつげ美容液の広告においても、製品の効果を過大に表現したり、科学的根拠のない情報を提供したりすることは違法となります。
例えば、「まつげを必ず伸ばします」や「まつげを太くします」などの表現は、そもそも薬機法に違反していますし、事実でない場合は景品表示法にも抵触します。
悪質な違法な広告表現を使用した場合、そのリスクは大きく、消費者庁からの指導や勧告、命令を受けることがあります。
同時に、消費者からの信頼を失ってしまいます。
さらに、違法な広告表現を使用したまつげ美容液は、消費者に深刻な健康被害をもたらすことがあります。
少し前の数字ではありますが、国民生活センターによると、2015年から2019年までの間に381件のまつげ美容液による健康被害の報告がありました。
具体的な健康被害の事例としては、角膜潰瘍を起こし手術を要したケース、目の周りが腫れて皮膚科を受診したケース、両まぶたが腫れて医師に塗布薬を処方されたケースなどが報告されています。
これらは、直接的に広告表現が原因とは断定できませんが、過度な期待を持たせる、義務付けられている使用説明等の表示を適切に行なっていない、製品の安全性を保つ努力の欠如なども一因となり得ます。
販売業者は、法的な問題だけでなく、消費者の健康を脅かす可能性があることを理解しておかなければなりません。
今回はまつげ美容液の広告表現で注意すべきポイントを見ていきました。
明確な効果をうたった広告や「伸びる」や「増える」等の直接表現を、化粧品であるまつげ美容液で使用することはできません。
広告上の表現は法律によって厳しく規制されています。
違法な広告表現を行った場合、罰則を受けるだけでなく、消費者の信頼を失う可能性もあります。そのため、広告表現には十分な注意が必要です。
販売者側が知っておかなければいけないのはもちろんのこと、消費者も悪質な広告や販売者が信頼できる会社かどうかなど、判断できる目を養っていきたいですね。
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