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【業界別に解説】「体験談」は、どこまで載せられる?

2023.07.31 #化粧品 #薬機法 #景品表示法 #広告 #医療広告ガイドライン

商品やサービスを広告する際に、非常に重要な役割を果たすのが「体験談」です。
体験談は、顧客の「経験」を共有することで製品やサービスの魅力を伝えるとともに、「第三者による客観的な評価」としてユーザーに信頼感を与えることができます。
実際、体験談や口コミ、お客様の声を積極的に取り上げている企業・店舗の広告を目にすることも多いのではないでしょうか。

ただし、寄せられた体験談をただやみくもにコンテンツ化していけばいいというわけではありません。

「お客様のリアルな感想なら、そのままサイトに載せても問題ないんじゃないの?」

という声もよく聞かれますが、実際には体験談も広告の一部としてみなされます。
特にヘルスケア業界では、体験談の掲載ルールが厳しく定められているため注意が必要です。

「体験談」として載せられる範囲はどこまで?

では、実際に体験談として載せられるのは、どこまでの範囲なのでしょうか。
ここでは、ヘルスケア業界の中でも「医療機関・クリニック」「化粧品」「サプリメント・健康食品」の3つの分野に焦点をあてて、体験談を掲載する際に注意すべきポイントをご紹介していきます。

【業界別に解説】「体験談」は、どこまで載せられる?

医療機関・クリニック

医院機関・クリニックの広告には、2018年6月に厚生労働省によって制定された「医療広告ガイドライン」が適用されます。
このガイドラインでは、治療内容や効果に関する体験談の掲載を禁止しています。

NG例:
×「手術のおかげで長年悩んでいた痛みがすっかりなくなりました!
×「〇〇病が治りました!
×「インプラント手術を行いました。術後の痛みや腫れもなく、大満足です。

上記のほか、「口コミサイトからの転載」「医療機関のスタッフによる体験談」「医療系ポータルサイトに寄せられた口コミの編集依頼」などもNGです。

この医療広告ガイドラインの施行に伴い、これまで自社のホームページに掲載していた体験談をすべて削除した大手美容クリニックもあります。

一方、「クリニックの雰囲気」や「アクセス・立地」「スタッフの対応」といった、治療内容や効果効能に関わらない範囲であれば掲載を許可している広告プラットフォームも。

医療機関・クリニックの広告に体験談を使用するのはかなりハードルが高いため、判断に迷う場合は医療広告ガイドラインに精通したプロの専門家にチェックしてもらうとよいでしょう。

化粧品

通常、化粧品の広告で謳えるのは「56項目の効果効能」のみとなっています。
そのため、「化粧品で標ぼう可能な56の効能効果であれば、体験談の中でも謳うことができる」と思うかもしれませんが、実はここに大きな落とし穴が。

体験談については、厚生労働省が局長通知という形で出している「医薬品等適正広告基準」において、以下のように定められています。

第4(基準)3(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止
医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。

また、この広告基準に解説を加えた「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」には、以下のような記載があります。

<共通>
(5)使用体験談等について
愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています。」等使用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため以下の場合を除き行ってはならない。
なお、いずれの場合も過度な表現や保証的な表現とならないよう注意すること。
①目薬、外皮用剤及び化粧品等の広告で使用感を説明する場合
ただし、使用感のみを特に強調する広告は、消費者に当該製品の使用目的を誤らせるおそれがあるため行わないこと。
②タレントが単に製品の説明や呈示を行う場合

つまり、たとえそれが事実であったとしても、使用体験談の中では効能効果に触れる記載は誤解を与える可能性があるとして禁止されているのです。

そのため、化粧品の広告で体験談を掲載する際には、「使用方法」「使用感」「香りのイメージ」に関する事柄しか訴求することができません。

NG例:
×「この化粧水で、シミが消えました
→「シミが消える」という表現は、56項目の範囲を超えた効果効能にあたるため、薬機法違反となります。

×「この化粧水で、肌にハリが出ました
→「肌にハリを与える」という表現は、化粧品56項目の範囲内の効果効能に該当するため、商品の紹介といった通常の広告文の中で使用する分には問題ありません。
ただし、体験談の中で使用すると医薬品等適正広告基準違反となります。

一方、次のような表現であれば体験談の中でも使用することができます。

〇「この化粧水は、サラッとしていてベタつきません。
〇「肌にスーッとなじんで、白浮きしないところがいいですね。
〇「フローラルのやさしい香りが気に入っています。

このように、化粧品の場合は「商品紹介」と「体験談」で謳える範囲が異なるため注意が必要です。

【業界別に解説】「体験談」は、どこまで載せられる?

健康食品・サプリメント

健康食品・サプリメントの体験談を広告に使用する際には、薬機法・景品表示法・健康増進法等に配慮する必要があります。

まず、薬機法の観点から見た場合、たとえ体験談の内容が事実であっても「医薬品的な効果効能」を標ぼうすることはできません。
このことは、昭和46年に通知された「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(通称「46通知」)の【Ⅰ- 2 医薬品的な効能効果の解釈】で述べられています。

(別紙) 医薬品の範囲に関する基準
Ⅰ- 2 医薬品的な効能効果の解釈
(三) 医薬品的な効能効果の暗示

~中略~

(e) 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより暗示するもの

つまり、体験談の内容が事実であったとしても、以下のような表現はNGとなります。

NG例:
×「毎朝食後に3粒ずつ飲み続けたら、2週間でお腹まわりがスッキリしました!
×「このお茶を飲み始めてから、血糖値が正常になりました。

また、上記のような医薬品的な効果効能を謳っていなくても、合理的な根拠がない場合は景品表示法違反となります。

NG例:
×「わずか1カ月で-7kg! このサプリだけで、理想の体を手に入れられました♪
×「世界初の〇〇成分配合! 最高の品質で安心して飲むことができました。

数字や断定的な表現を用いた場合は、体験談であってもエビデンスが求められることを覚えておきましょう。

【業界別に解説】「体験談」は、どこまで載せられる?

「サプリメントの体験談」で思い出されるのが、2020年に日本で発生した「ステラ漢方事件」です。

この事件では、「体験談風の記事型広告」という広告手法を用いて「ズタボロになった肝臓が半年で復活」など、医薬品として承認されていないサプリメントに対して医薬品的な効能効果を宣伝したことが問題となりました。

最終的に、サプリメントの製造販売を行っていた企業の従業員や、広告代理店の社長ら6人が薬機法違反の疑いで逮捕されることに。
この事件は、日本の医薬品広告規制に関する大きな転換点となりました。

問題となった体験談は捏造された記事であることが発覚しましたが、もし捏造でなかった場合でも、健康食品の体験談で医薬品的な効果効能を謳うと薬機法違反になることに変わりはありません。

口コミサイト等に書き込まれた体験談はどうなる?

実際に商品やサービスを利用した人が、個人のブログやSNS、第三者が運営するウェブサイト等に、自らの意思で自由に投稿・書き込みをした場合は広告扱いとなりません。
そのため、Googleマップや口コミサイト、Twitter、Instagramなどのコメントは規制の対象外となります。

ただし、企業が報酬を支払って投稿を依頼したり、自社の社員がレビューを書き込んだりした場合は「ステルスマーケティング」に該当します。
その場合、2023年10月より景品表示法違反となるため注意が必要です。

関連記事:
SNSマーケティング担当者必見! 10月から始まる「ステマ規制」って?【前編】
SNSマーケティング担当者必見! 10月から始まる「ステマ規制」って?【後編】

体験談の下に「※個人の感想です。」などの注釈をつければOK?

体験談の広告の近くに、以下のような注意書きがついているのをよく見かけることがあります。

※あくまで個人の感想です。
※効果を保証するものではありません。
※効果には個人差があります。

しかし、このような打消しの注釈をつけたとしても免罪符にはならないことが最近明らかになっています。

実際、過去に景品表示法違反で措置命令を受けた企業においても、打消し表現の無効を言い渡されているところが少なくありません。
また、2017年7月に消費者庁が発表した「打消し表示に関する実態調査報告書」の中でも、商品の効果・性能等をあえて打消す表現の記載は本来の目的と矛盾しており、意味をなしていないとの解釈がなされています。

まとめ

「医療機関・クリニック」「化粧品」「サプリメント・健康食品」。
これらヘルスケア業界のウェブサイト等に「体験談」を掲載する際は、「効果を謳っていないか」をまずチェックするようにしましょう

体験談やお客様の声は訴求力が高いがゆえに、取り締まりも厳しくなっています。
過剰な表現はトラブルのもと。
ルールを意識して、正しい広告づくりを推進していきましょう。

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