前回からの続きです。
【後編】では、10月から始まるステマ規制の内容と企業の取り組み方についてご紹介していきます。
INDEX
近年のSNS上での広告需要の高まりと、それに伴うステマの横行を背景に、消費者庁の有識者検討会はステマを景品表示法の不当表示に追加し、ステマを行った場合には広告主を処分の対象とする方針を固めました。
それが、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」です(令和5年内閣府告示第19号)。
ここでは、「広告であるにもかかわらず、消費者が広告だとわからないように表示」している広告を禁止しています。
「ステマ規制」は景品表示法の不当表示に追加され、2023年10月1日から施行されます。
【「広告」に該当する場合】
・事業主や従業員が第三者になりすましてコメントを投稿した場合
・インフルエンサーに商品を提供し、SNS等で「オススメ!」などと投稿するよう依頼した場合
・第三者に報酬を渡して評価の高い口コミを投稿してもらった場合 など
【「広告」に該当しない場合】
・第三者が自らの意思で投稿・書き込みをした場合 など
今回の規制の対象になるのは、商品やサービスを提供している事業者となります。
実際に投稿するインフルエンサーなどは対象になりません。
なお、景品表示法は商品だけでなくサービスにも適用されます。
そのため、ダイエットで有名なインフルエンサーに報酬を支払い、広告であることを伏せた状態で「このエステサロンに通ったら、1週間で3kg痩せました♪」などとSNSに投稿してもらう場合なども規制の対象となります。
景品表示法に違反した場合、消費者庁から再発防止を求める措置命令が出されます。
これにより、違反した事業者の名称が広く一般に公表されることになります。
また、措置命令に従わなかった場合は刑事罰の対象となり、2年以下の懲役または300万円以下(法人の場合は3億円以下)の罰金あるいはその両方が科せられる場合があります。
今回のステマ規制には、以下4つのポイントに留意しながら対応するとよいでしょう。
今回のステマ規制で対象となるのは、「10月1日以降に作成・展開する広告」ではなく、「10月1日時点で消費者の目に触れる広告」です。
そのため、現時点で法に触れる広告が出回っていないかどうか、過去ものも含めて確認しておくことをおすすめします。
自社で展開するマーケティングが「広告」にあたる場合、その旨を表示しなければなりません。
消費者庁では、「広告」「PR」「宣伝」「タイアップ」「プロモーション」といった文言の表示、あるいは「●●社から商品の提供を受けて投稿しています」といった文章の掲載を求めています。
広告であるにもかかわらずその表示がされていない場合は、景品表示法違反となるので注意しましょう。
広告である旨は、消費者にわかりやすくはっきりと表示しなければなりません。
以下のような場合はNGとなるので、細部にまで気を配りましょう。
・広告である旨の表示が小さかったり、文字が薄かったりする場合
・「#PR」などの広告の表示が大量のハッシュタグの中に埋もれている場合
・動画において、認識できないほど短い時間内で広告表示がされている場合 など
なお、「観光大使による商品のPR」など誰の目から見ても宣伝であることが明らかな場合は、広告扱いにならないとされています。
上述のとり、規制の対象は事業主(広告主)となるため、インフルエンサーなどに自社商品・サービスを紹介してもらう際は、広告である旨の記載もあわせて依頼する必要があります。
インフルエンサーや仲介業者には薬機法や景品表示法等の注意点に加え、今回のステマ規制に関する留意事項も別途通知するなどして周知徹底を図りましょう。
私たちも知らず知らずのうちに目にしているかもしれないステマ。
もし自分の好きなインフルエンサーがSNSで紹介していた「愛用品」が、実は企業からお金をもらってPRしているだけの「商品」だったとしたら。
私たちはきっと、信用を裏切られたと感じるでしょう。
ステマが発覚することで、商品やサービスそのものはもちろん、企業や広告に携わった人たちのイメージも大きく損なわれることになってしまいます。
今回の規制をきっかけに、事業主・インフルエンサーともに広告のルールを正しく理解し、消費者に信頼できる情報を提供していくことが期待されます。
参考:「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定及び「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」の公表について(消費者庁)
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