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2024年4月から本格始動! 食品の「無添加」表示、何がNG?

2023.12.18 #食品

「無添加」「食品添加物不使用」と聞くと、多くの人が「安心・安全」「自然で健康的」「カラダに良さそう」というイメージを抱くのではないでしょうか。

実際、食品添加物の不使用表示の消費者への訴求力は高く、実に60%以上の人が「無添加」「不使用」の表示を参考に食品を購入しているという調査結果が出ています。(「令和2年度 食品表示に関する消費者意向調査」(消費者庁)

消費者の購買意欲を高める「無添加」「不使用」の表示ですが、近年、この無添加表示に関して大きな動きがみられています。

「無添加マフィン」で食中毒に

2023年11月、東京都内で開催されたアートイベント「デザインフェスタ」で販売されたマフィンで食中毒が発生し、大きな騒動となったことは記憶に新しいところです。
この事態を受け、厚生労働省は販売されたマフィン約3,000個を健康への被害が最も高い「CLASSI(クラス1)」に分類し、リコールの対象としました。

特筆すべきは、このマフィンが「無添加」を謳っていたこと。
本来、防腐剤などの添加物を使用しないのであれば、通常の食品よりも厳しい衛生管理が求められます。
しかし、このマフィンは「無添加=安全」というイメージを前面に押し出しながらも、衛生管理が不十分であったことが、多くの健康被害につながったと考えられています。

無添加で作られた食品は、素材本来の味や風味を楽しめるというメリットがある一方、保存性が低いというデメリットもあることが改めて世間に認識されることとなりました。

「食品添加物=悪」と決めつけないために

食品添加物は、食品の品質や保存性等を維持するために使用されるものであり、適切に使用されていれば、むしろ安全性を高める効果があります。

過去には、食品業界大手の山崎製パンが、食パンのパッケージ等に記載された「イーストフード・乳化剤不使用」の強調表示について、「国際的に安全性が認められているイーストフード・乳化剤が安全でないような誤解を生む」と、業界の慣習に一石を投じたことがあります。
さらに2020年、同社は2014年以降使用していなかった「臭素酸カリウム」という食品添加物の使用を一部の製品に対して再開することを自主的に公表。
当時大きな話題となりました。

このような業界の動きに呼応するかのように、2022年には消費者庁が「食品添加物不使用」の表示について定めた「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を発表しています。

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「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」とは

「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」は、「食品添加物不使用」の表示について消費者に誤認などを与えないよう、2022年3月に消費者庁が策定したものです。

策定の背景

食品表示法では、「保存料や着色料、酸化防止剤など、食品に使用されたすべての添加物を商品パッケージに明記しなければならない」というルールが設けられています。
一方で、添加物不使用の記載に関しては特に規定がなく、各食品メーカーの判断に委ねられていました。
そのため、原材料に添加物が含まれていても、加工の際には添加物を使用していないという理由で「無添加」と表示されているケースなども少なくなかったのです。
これでは、消費者が「添加物を一切使用していないもの」と誤認してしまう可能性があります。
また、無添加や不使用といった表示を必要以上に強調することは、「添加物の入った食品は危険」という誤った認識が消費者に広まる懸念があると、かねてより問題視されていました。
このような消費者にとって分かりづらく混乱を招くような食品表示を改善することも、今回のガイドラインが策定された理由のひとつと考えられます。

対象

今回のガイドラインは、食品一般に向けて作成されています。
したがって、健康食品やサプリメント等の製造・販売においても、パッケージ上の「無添加」表示には十分に注意を払う必要があります。
なお、ガイドラインの対象となるのは「パッケージのみ」
Webサイトやチラシなどの「広告」は対象となりません。
また、今回の規制対象となるものは食品添加物のみであるため、「グルテンフリー」のような表示は今までどおり記載することが可能です(グルテンは食品添加物ではないため)。

適用時期

このガイドラインは2022年3月から適用されていますが、表示の見直しやパッケージ・ラベルの入れ替えに時間がかかることなどから、2年間の移行期間が設けられています。
各食品メーカーや関連事業者は、移行期間が終了する2024年3月末までにガイドラインに則った表示に変更しなければなりません
なお、2024年4月以降にこのガイドラインに違反する表示があった場合は、罰則が科される可能性があると言われています。

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ガイドラインで禁止されている表記の例

食品添加物の不使用表示に関するガイドラインでは、注意すべき表示として以下の10の類型が示されています。

類型1:単なる「無添加」の表示

単に「無添加」とだけ記載してある表示のこと。
消費者にとって、何の成分が無添加・不使用なのか分からない表示がこれに該当します。

類型2:食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示

無添加あるいは不使用という言葉とともに、人工、合成、化学、天然等の用語を使用した表示のこと。
つまり、昔よく見かけた「人工甘味料不使用」「合成着色料不使用」「化学調味料不使用」といった用語も、現在では使用することができません。

類型3:食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示

もともと当該商品への使用が法律で認められていない添加物に対し、あえて「無添加」「不使用」と表示すること。
たとえば、清涼飲料水にはソルビン酸を添加することができず、トマトケチャップには着色料を使用することはできません。
それにも関わらず、「ソルビン酸不使用」「無着色」などと強調して表示すると、消費者に不使用表示のない商品よりも優れていると誤認させるおそれがあります。

類型4:同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示

「〇〇無添加」、「〇〇不使用」と表示しながら、〇〇と同じような機能を持つ他の食品添加物を使用している食品への表示のこと。
たとえば、日持ち向上目的で保存料以外の食品添加物を使用した食品に、「保存料不使用」と表示することは禁止されています。

類型5:同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示

「〇〇無添加」「〇〇不使用」と表示しながら、〇〇と同じような機能を持つ原材料を使用している食品への表示のこと。
たとえば、原材料としてアミノ酸を含有する抽出物を使用した食品に、添加物としての調味料を使用していない旨を表示すると、消費者を誤認させるおそれがあるとされています。

類型6:健康、安全と関連付ける表示

無添加あるいは不使用を健康や安全の用語と関連付けている表示のこと。
つまり、「体に良いこと」や「安全であること」の理由として無添加あるいは不使用を表示することはNGとなります。
現在流通している食品添加物は国が安全性を認めているため、「添加物を使っていないので安全です」といった表示は、消費者を誤解させる可能性があります。

類型7:健康、安全以外と関連付ける表示

無添加あるいは不使用を健康や安全以外の用語(おいしさ、賞味期限及び消費期限、食品添加物の用途等)と関連付けている表示のこと。
たとえば、パッケージに「保存料を使用していないためお早めにお召し上がりください」と記載されていた場合、消費期限に対する誤解を生じさせるおそれがあります。
このような場合は、「開封後はお早めにお召し上がりください」など、消費者の誤認を招かないような表現に変更する等の配慮が求められます。

類型8:食品添加物の使用が予期されていない食品への表示

消費者が、当該食品添加物が使用されていることを予期していない食品への無添加あるいは不使用の表示のこと。
たとえば、ミネラルウォーターに着色料が使われていないことは、多くの方が理解できるでしょう
それに対し、あえて「着色料不使用」と表示することは、同種の製品よりも優れていると消費者に誤認させるおそれがあります。

類型9:加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示

加工助剤、キャリーオーバーとして食品添加物が使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への無添加あるいは不使用の表示のこと。
原材料の一部に保存料を使用しながら、最終製品に「保存料不使用」と表示することなどがこれに該当します。

類型10:過度に強調された表示

無添加あるいは不使用の文字等が過度に強調されている表示のこと。
保存料・着色料以外の食品添加物を使用している食品に、大きく「無添加」と表示し、その側に小さく「保存料、着色料」と表示することなども禁止されています。

参考:「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(消費者庁)

「無添加」や「不使用」の表示が、すべて禁止になるわけではありません

このガイドラインは、食品添加物の不使用表示を一律に禁止するものではありません
あくまでもガイドラインに沿っており、消費者に誤認を与えない記載をしていれば、事実に基づき「〇〇無添加」「〇〇不使用」とパッケージに記載することができます。

たとえば、これまで「無添加」とだけ表示されていたりんごジュースがあるとします。
このりんごジュースに、着色料や着色料と同じような機能を持つ原材料・食品添加物が使用されていない場合は、「着色料無添加」と表示することが可能です。

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まとめ

「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」の策定により、食品メーカーは2024年3月末までに商品パッケージの表示をガイドラインに沿った内容に改める必要があります。
この際、消費者が誤認するような無添加・不使用表示をしないことが最も重要なポイントになると言えるでしょう。

また、商品パッケージの表示だけでは、消費者が食品添加物の安全性や商品の特徴を十分に理解できない場合があります。
そのため、Webサイトなどのオウンドメディアを活用して、食品添加物に関する情報を充実させることも大切だと言えるでしょう。
特にWebサイトは、消費者がいつでもどこでも情報を得ることができるため、食品添加物に関する情報提供に有効な手段です。

たとえば、

・食品添加物の安全性についての正しい情報を分かりやすく伝える。
・自社の商品に使用している食品添加物について、その役割や必要性などを説明する。
・消費者の質問や相談に応える体制を整える。

これらの対応をすることで、消費者が食品添加物について正しく理解し、安全な食品を選択できるようになることが期待されます。
Webサイトを上手に活用することによって、消費者とのコミュニケーションを強化し、信頼を醸成していくことができるでしょう。

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